粟野健次郎顕彰会について
1.設立の趣旨
粟野健次郎顕彰会は、人となりを明らかにして、その功績を顕彰しながら、教育の持つ偉大な価値を今一度世に問うことを目的として、健次郎の生誕の地、岩手県一関市の有志によって平成6年に結成された組織です。「教育講座」「公開市民講座」など常に「教育」に関わる講演、シンポジウムもしくはフォーラムを継続して開催しています。
2.粟野顕彰会の歩み
平成6年の結成当初から11年頃まで、教育に関わる記念講演、シンポジウム、提言発表会、粟野健次郎研修ツアーなどを企画いたしました。元東北大学総長の加藤睦奥雄氏、岩手県立大学総長の西澤潤一氏などを講師に迎え、活発な議論が展開されました。平成17年3月、小野寺賢郎会長の一関市教育委員長退任を機に、粟野顕彰会の再構築が行われました。11月16日に第一回役員会が開催され、新しい役員体制の新生粟野健次郎顕彰会がスタートしました。
平成18年には、一関市教育委員会と共催し、東京国際大学副学長遠藤克弥氏の講演「いま、教職について考える」を開催し、850人が参加されました。平成20年には、小野寺賢郎会長が「古きをたずねて、新しきを知る」~ある人物像から~と題して講演いたしました。この年から粟野顕彰会役員自らが講演の講師、コーディネーター、シンポジスト、パネリストを務めるようになりました。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、岩手県沿岸部を中心に甚大な被害を被りました。こうした状況を踏まえて、有名な宗教学者で哲学者、評論家である山折哲雄氏を講師として、復旧への道を探る内容の講演「聴く、語る、沈黙する」を開催しました。この年に顕彰会は「一関文化賞」を受賞いたしました。
平成24年は、一関出身の作家、コラムニストの島地勝彦氏の講演「人生にとって、大切なことは教育である」を開催し、200名を超える参加者がありました。
平成25年から27年の3年間は、顕彰会にとっての「原点回帰」、すなわち粟野健次郎の顕彰を行う期間となりました。未だに粟野健次郎の人となりが一般の皆さんにあまり知られていないことから、三年間の一関市地域おこし事業の補助金を活用して、健次郎の伝記の編纂・出版と公開市民講座の開催を目的として、あらためて粟野健次郎に関する情報収集作業を行いました。具体的な取り組みは次の通りです。仙台市の東北大学の図書館や史料館を訪ねて資料の調査を行いました。また、健次郎亡き後の粟野家を継いだ新潟県在住の粟野一志さんをお招きして聞き取り調査を行うとともに、公開講座にもご参加いただきました。更に「健次郎自筆の手紙を多数保管している」という連絡を受けて神奈川県横須賀市を訪ねて自筆の手紙をお借りして調査を行いました。また、健次郎が生前転住を予定して書籍などを送ったと言われている群馬県高崎市在住の健次郎の妹の子孫を訪問するなどして、健次郎に関する多くの新しい知見を得ることが出来ました。
こうした調査の結果は毎年度数1~2回に渡って開催した公開市民講座「郷土の偉人・人間粟野健次郎」で報告いたしました。また、平成27年度末には、『観音になった男~知られざる偉人・粟野健次郎~』という粟野健次郎の伝記を出版することができました。
平成28年には、全国最下位レベルに低迷している岩手県の教育環境を改善するために一体何が必要なのかを議論し、翌年度以降に為すべき事業について話し合いました。また、この年から「山目市民センターまつり」に参加いたしました。
平成29年度からの3年間は、再度一関市地域おこし事業の補助金を活用して、学力向上、特に家庭教育力の向上を目的とした事業に着手いたしました。
初年度の29年度は、学力日本一を誇る秋田県の東成瀬村と由利本荘市を訪問して、学力日本一を誇る秋田県の戦略と仕組みに関する聞き取り調査を行いました。その結果を踏まえて、2月4日(日)ベリーノホテル一関を会場に、由利本荘市教育長佐々田亨三氏、東成瀬村教育長鶴飼孝氏をお迎えして、粟野顕彰会教育講座「学力全国最下位レベルから日本一へのキセキ ~秋田県を学力日本一に押し上げた二人の教育者をお迎えして~」を開催したところ、180名の参加者が集まりました。
またこの年、粟野健次郎顕彰会は平成29年度一関市民憲章推進協議会表彰を受賞いたしました。功績内容として「平成6年に結成され、一関出身の教育実践者粟野健次郎を顕彰しながら、彼の人間愛と教育にかけた情熱に思いを馳せ、毎年公開市民講座として粟野教育講座を開催し、講演とシンポジウムを開催している。また、教育講座の冊子、書籍を一関市内の図書館、市民センター等に配布する活動を行うなど地域教育に貢献しており、その功績は誠に大きい」ということが挙げられました。